Column
会社経営者の永住申請|経営・管理ビザの新基準・税金・社会保険を解説 【2026年最新】

「経営・管理ビザで長く会社を経営しています。永住申請できますか?」
「今のビザは更新できていますが、資本金は3,000万円ありません。」
「会社の社会保険を一度遅れて払ったことがあります。」
「会社が赤字でも永住申請できますか?」
会社経営者の永住申請は、一般的な会社員の永住申請よりも確認事項が多くなります。
本人の、
在留年数
年収
住民税
年金
健康保険
だけを見ればよいわけではありません。
経営している会社そのものの状況
も重要です。
さらに、2025年10月16日に在留資格「経営・管理」の許可基準が大幅に改正されたため、2026年現在は以前の永住情報だけを参考にするのは危険です。
2026年の経営者永住で最も重要なのは「新しい経営・管理基準」
2025年10月16日、「経営・管理」の許可基準が改正されました。
主な基準として、
日本国内に事業所があること
1人以上の対象となる常勤職員を雇用していること
事業用財産の総額が3,000万円以上であること
経営者または常勤職員のいずれかが一定以上の日本語能力を持つこと
申請人が一定の学歴または経営・管理経験を持つこと
などが設けられています。
特に永住申請では、この改正との関係を理解する必要があります。
1.「更新できる」と「永住できる」は別
改正前から「経営・管理」で在留している方については、2028年10月16日までの在留期間更新では、改正後の新基準を完全に満たしていなくても、
現在の経営状況
今後新基準を満たす見込み
納税状況
その他の在留状況
などを踏まえて更新が認められる場合があります。
そのため、
現在も経営・管理ビザを更新できている
方の中には、新基準をまだ完全には満たしていない方もいます。
しかし、永住は別です。
出入国在留管理庁は、
2025年10月16日以降、改正後の「経営・管理」の許可基準を満たしていない場合、経営・管理からの永住許可は認めない
と明確に案内しています。
つまり、
「現在の経営管理ビザが有効だから永住条件も満たしている」
とは判断できません。
永住申請前に新基準への適合確認が必要
経営・管理から永住を考える場合は、通常の永住要件より前に、
現在の事業が改正後の経営・管理基準を満たしているか
を確認する必要があります。
ここを確認せず、
「来日10年だから」
「税金に未納がないから」
という理由だけで永住申請を進めるのは適切ではありません。
2.事業用財産の総額3,000万円以上
改正後は、
申請に係る事業の用に供される財産の総額が3,000万円以上
であることが基準の一つとなっています。
法人の場合は、原則として、
資本金または出資総額
が基準になります。
例えば株式会社であれば、払込済みの資本金額を確認します。
「会社に3,000万円の売上がある」という意味ではない
ここは注意が必要です。
売上3,000万円、
預金3,000万円、
会社の時価総額3,000万円、
という意味ではありません。
法人では、基本的に資本金・出資総額との関係を確認します。
個人事業主の場合
個人事業主には「資本金」という概念がありません。
入管の現在のQ&Aでは、個人事業主の場合、
事業を営むために実際に投下されている総額
を確認すると説明されています。
例えば、
事業所確保に要する費用
常勤職員の給与
設備投資
などです。
資本金3,000万円未満でもビザ更新できているから大丈夫?
永住については、この考え方は危険です。
在留期間更新には経過措置があります。
一方、永住については、改正後基準への適合が求められています。
そのため、
更新が許可された事実だけで、永住申請可能と判断することはできません。
3.1人以上の常勤職員が必要
改正後の経営・管理では、
1人以上の常勤職員を雇用すること
が必要です。
ただし、誰でもよいわけではありません。
この雇用要件で対象となるのは、原則として、
日本人
特別永住者
永住者
日本人の配偶者等
永住者の配偶者等
定住者
などです。
例えば、
技術・人文知識・国際業務の外国人社員1名だけ
を雇用している場合、その社員だけではこの雇用基準を満たしません。
「社員がいる」だけでは足りない
経営者から、
「社員を3人雇っています。」
と聞いても、それだけでは判断できません。
確認する必要があるのは、
常勤か
在留資格は何か
雇用契約はどうなっているか
給与は適切か
社会保険等へ適切に加入しているか
などです。
4.経営者または常勤職員に一定の日本語能力が必要
改正後は、
経営者または常勤職員のいずれか
に、日本語教育の参照枠でB2相当以上の日本語能力が求められます。
外国人が日本語能力を立証する代表的な方法としては、
JLPT N2以上
BJT 400点以上
中長期在留者として20年以上日本に在留
日本の大学等を卒業
日本で義務教育を修了し、高校を卒業
などが公式に示されています。
経営者本人が日本語を話せなくても、条件を満たす常勤職員によってこの要件を満たせる場合があります。
ただし、先ほどの常勤職員1人以上の雇用要件とは対象範囲の考え方が一部異なるため、誰を基準にするかは正確に確認する必要があります。
5.経営経験3年以上または修士相当以上の学位
経営者本人については、
経営・管理または経営する事業分野に関する修士相当以上の学位
または、
経営管理に関する実務経験3年以上
のいずれかが求められます。
以前の「経営・管理」では、経営者本人についてこのような学歴・経験要件は現在ほど明確ではありませんでした。
そのため、改正前から経営管理ビザを持っている方は、
自分が新基準の学歴・経験要件を満たしているか
を改めて確認する必要があります。
会社の実態も確認される
新基準は数字だけの問題ではありません。
現在の公式運用では、
業務委託等によって経営者本人の経営活動の実態が十分に認められない場合
は、「経営・管理」に該当する活動とは認めないとされています。
つまり、
会社が登記されている、
資本金がある、
社員がいる、
というだけでなく、
本人が実際に経営・管理活動を行っているか
も重要です。
6.自宅兼事務所にも注意
現在の「経営・管理」の運用では、改正後の事業規模を踏まえ、
自宅と事業所を兼ねることは原則として認められない
とされています。
以前から経営・管理で在留している方でも、永住申請時には、
現在の会社の事業所が新基準との関係で問題ないか確認する必要があります。
経営者は本人の税金だけ見ればよいわけではない
一般会社員との大きな違いです。
会社経営者の永住申請では、
本人の、
住民税
所得税
年金
健康保険
だけでなく、
会社側の公的義務
にも注意する必要があります。
7.会社の社会保険料は直近2年を確認
永住申請時に社会保険適用事業所の事業主である場合、本人の年金・健康保険資料に加えて、
事業所の健康保険・厚生年金保険料について、直近2年間の納付状況を証明する資料
が必要です。
重要なのは、
現在未納がないことだけではありません。
入管は、保険料が納期限後に支払われていないことを確認するための資料も求めています。
例えば、
会社の社会保険料を資金繰りの都合で数か月遅れて納付
↓
現在は全部完納
という場合でも、
「現在未納なし」だけで判断することはできません。
会社の資金繰りによる遅延も永住では重要
会社を経営していれば、
「取引先からの入金が遅れた」
「一時的に資金繰りが苦しかった」
という事情が起きることがあります。
しかし、永住審査では公的義務の期限内履行が重要です。
会社としての支払遅れと、本人個人の永住申請を完全に切り離せない
点が経営者案件の難しいところです。
8.労働保険・労働法令・許認可も無関係ではない
入管は、「経営・管理」の更新審査について、
労働基準法
最低賃金法
社会保険
雇用保険
労災保険
事業に必要な許認可
など、経営者として守るべきルールに問題がある場合は、消極的に評価されると案内しています。
永住申請でも、現在の「経営・管理」の在留資格自体が適切な状態であることが重要です。
そのため、
法人税を払っているからそれだけで大丈夫
とはいえません。
赤字決算だと永住できない?
赤字が1期あるだけで永住不許可になる、という全国一律の公表基準はありません。
会社経営では、
設立初期
大規模投資
一時的な売上減
市場環境
などにより赤字になることがあります。
ただし、永住では、
将来も安定した生活が見込まれること
が確認されます。
さらに経営・管理の在留資格自体についても、事業の継続性・安定性が重要です。
そのため、
継続的な赤字
債務超過
売上の大幅減
役員報酬を維持できない状態
などがある場合には、申請前に慎重な確認が必要です。
9.会社の売上と本人の年収は別
よくある誤解です。
「会社の売上が1億円あります。」
という事実だけで、本人の生計が安定しているとは限りません。
永住では、
申請人本人がどの程度の所得を得ているか
も確認します。
例えば、
会社売上:1億円
役員報酬:年240万円
というケースでは、
「売上1億円」だけを見て生計要件を判断することはできません。
逆に役員報酬を極端に高く設定して会社の財務を悪化させている場合も、会社経営全体との整合性を確認する必要があります。
役員報酬を永住の直前だけ上げればよい?
おすすめできません。
直近の役員報酬だけでなく、
過去の所得
会社の業績
役員報酬の推移
税務申告
現在の財務状況
などとの関係が出てきます。
永住申請だけを目的として不自然に給与を調整しても、会社の資料との整合性を確認する必要があります。
10.住民税は一般就労ルートと同様に原則直近5年
「経営・管理」は就労資格です。
通常ルートで永住申請する場合、住民税関係資料については原則として、
直近5年分
を確認します。
そのため、
現在の役員報酬だけではなく、
過去数年間の本人所得
も確認されます。
設立前は会社員だった、
途中で役員報酬を変更した、
無収入期間があった、
という場合には、所得推移を整理して考える必要があります。
法人税を払っていれば個人の住民税は関係ない?
もちろん別です。
会社が支払う、
法人税
法人住民税
消費税等
と、
経営者本人の、
所得税
住民税
年金
健康保険
は別の義務です。
会社と個人の両方を確認する必要があります。
11.一般的な10年・5年の在留要件も必要
経営者だから、通常の永住年数要件がなくなるわけではありません。
一般ルートでは原則として、
引き続き10年以上日本に在留
し、そのうち、
就労資格または居住資格で引き続き5年以上
在留する必要があります。
例えば、
留学6年
+
経営・管理4年
では、
日本在留が10年でも、一般ルートの就労資格5年以上を満たしていないことになります。
高度専門職1号ハなら短縮できる場合がある
経営者でも、高度人材ポイントを満たす場合には、
高度専門職1号ハ
または高度人材ポイントを利用した永住特例を検討できる場合があります。
70点なら3年、
80点なら1年、
という特例があります。
ただし非常に重要なのは、
経営・管理活動を前提とする高度専門職についても、改正後の経営・管理基準を満たす必要がある
という点です。
高度人材ポイントが80点あるから、
資本金3,000万円等の新基準を無視できる
わけではありません。
12.長期出国が多い経営者も注意
会社を経営しながら、
中国
香港
台湾
東南アジア
などを頻繁に往来している方もいます。
現在の経営・管理運用では、
正当な理由なく長期間日本を出国していた場合、国内での経営活動実態がないものとして更新が認められない場合がある
とされています。
永住でも「引き続き在留」が重要です。
会社が日本にあるというだけで、本人が長期間海外で生活していても問題ないとは限りません。
経営者の永住申請で特に確認したいケース
次のような場合は、一般的な会社員向けの永住チェックだけでは不十分です。
改正前から経営・管理ビザを持っている
資本金が3,000万円未満
常勤職員がいない
雇用しているのが就労ビザの外国人だけ
日本語能力の要件を満たす人が分からない
経営経験・学歴の新基準に不安がある
自宅兼事務所で経営している
社会保険料を遅れて払ったことがある
会社が赤字
債務超過
役員報酬が低い
法人税・消費税等に支払遅れがある
海外滞在が多い
高度人材80点で永住を予定している
このようなケースでは、
一般の永住要件
と
経営・管理の新基準
の両方を確認する必要があります。
よくある質問
Q.現在の経営・管理ビザが更新できていれば、永住も申請できますか?
必ずしもそうではありません。
既存の経営・管理保持者には更新の経過措置がありますが、2025年10月16日以降の永住については改正後の経営・管理基準への適合が求められます。
Q.資本金500万円で以前から会社を経営しています。
在留期間更新と永住は分けて考える必要があります。
永住申請を検討する場合は、新基準との適合を確認する必要があります。
Q.3,000万円は会社の売上ですか?
いいえ。
法人の場合は、原則として資本金または出資総額との関係を確認します。
Q.社員を1人雇っています。
その方が常勤職員の雇用基準で対象となる身分・在留資格か確認する必要があります。
Q.私自身は日本語N2を持っていません。
経営者または一定の常勤職員のいずれかが基準を満たすことで、日本語能力要件を満たせる場合があります。
Q.会社の社会保険料を遅れて払ったことがあります。
経営者の永住では、会社の直近2年間の社会保険料納付状況も重要です。
現在完納しているだけでなく、納付時期を確認する必要があります。
Q.会社が1期だけ赤字です。
1期赤字だけで一律に不許可という公式基準はありません。
ただし、事業の継続性や本人の生計状況を含めて確認します。
Q.高度人材80点です。
1年ルートを利用できる可能性はありますが、経営・管理活動を前提とする場合、新しい経営・管理基準への適合も必要です。
経営者の永住は「本人+会社」を同時に確認する
会社員の永住では、主に本人の、
仕事・収入・税金・年金・在留歴
を確認します。
一方、会社経営者では、それに加えて、
会社の経営実態・経営管理の新基準・社会保険・法令遵守・事業継続性
まで関係します。
特に2025年10月16日以降は、
昔の経営・管理基準で現在のビザを取得した方ほど注意が必要です。
「経営管理ビザが更新できている」
という理由だけで永住申請へ進むのではなく、まず現在の会社が改正後基準を満たしているか確認する必要があります。
エンライト行政書士事務所では、経営者の永住申請について、
現在の経営・管理ビザ
2025年10月改正後の新基準
資本金・出資
常勤職員
日本語能力
経営経験・学歴
本人の住民税・所得
会社の社会保険
法人の納税状況
高度人材ポイント
まで確認したうえで、現在永住申請を進められる状態かを判断しています。
永住申請の初回要件確認は無料です。
エンライト行政書士事務所
行政書士 宮島 詩卉
電話:03-5284-7981
受付時間:平日10:00~18:00
※永住申請のサポートは原則として東京出入国在留管理局の管轄地域を対象としています。
参考情報
出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」
出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』」
出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」
出入国在留管理庁「永住許可申請3(就労資格・家族滞在)」
出入国在留管理庁「永住許可申請にかかる提出書類一覧表(就労資格)」




