Column
中国籍の方が日本へ帰化すると中国国籍はどうなる?二重国籍・中国パスポート・国籍喪失を解説 【2026年最新】

「日本に帰化したら、中国国籍は自動的になくなりますか?」
「中国と日本の二重国籍にはなれませんか?」
「帰化する前に、中国で国籍離脱の手続をする必要がありますか?」
「帰化した後も、期限が残っている中国パスポートを使えますか?」
中国籍の方が日本への帰化を検討する際、非常に重要なのが、
日本国籍を取得した後、中国国籍がどうなるのか
という問題です。
結論からいうと、中国は二重国籍を認めていません。
中国国籍法第9条では、
外国に定住する中国公民が、自ら外国国籍に加入し、又は外国国籍を取得した場合、中国国籍を自動的に喪失する
と定めています。
一方、日本の帰化制度でも原則として、
帰化によって従前の外国国籍を喪失できること
が条件の一つになっています。
そのため、中国籍の方の帰化では、
「日本国籍を追加で取得して中国国籍もそのまま残す」
という考え方とは異なります。
この記事では、日本への帰化による中国国籍の扱い、中国パスポート、戸口・居民身份证、帰化前後の手続について解説します。
日本の帰化には「重国籍防止条件」がある
日本の国籍法では、帰化の一般的な条件の一つとして、
重国籍防止条件
が定められています。
法務省の国籍Q&Aでは、帰化しようとする方について、
無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失すること
が必要と説明されています。
つまり、日本の帰化制度は一般に、
外国籍 + 日本国籍
という状態を帰化によって恒常的に作ることを前提としていません。
中国籍の方についても、
中国の国籍法上、日本国籍を取得したときに中国国籍を喪失するか
という点が重要になります。
中国は二重国籍を認めていない
中国国籍法第3条は、
中国は中国公民が二重国籍を有することを認めない
と定めています。
したがって、
「日本に帰化した後も、中国人として中国国籍をそのまま残しておきたい」
という考え方は、中国の国籍制度とは一致しません。
ただし、
中国国籍を持っている人が外国の永住権を取得しただけ
であれば、外国国籍を取得したわけではありません。
中国国家移民管理局も、外国の永住権を取得しただけで外国国籍を取得していなければ、中国国籍は維持されると説明しています。
そのため、
日本の「永住者」になることと、日本へ「帰化」することは、国籍上まったく異なる手続
です。
日本へ帰化すると中国国籍はいつなくなる?
日本では、法務大臣が帰化を許可すると官報に告示され、
その官報告示の日から帰化の効力が生じ、日本国籍を取得します。
中国国籍法第9条は、
外国に定住する中国公民が自ら外国国籍を取得した場合には、中国国籍を自動的に喪失するとしています。
そのため、同条の要件に該当する中国籍の方については、
日本への帰化によって日本国籍を取得することに伴い、中国国籍を自動的に喪失する
という関係になります。
なお、中国国籍法第9条の適用について、個別の事情によって中国側当局による国籍認定が必要となる場合があります。
実際の国籍関係について疑義がある場合には、中国大使館・領事館または中国側の出入境管理当局へ確認する必要があります。
帰化前に「中国国籍離脱申請」をする必要がある?
中国国籍法には、
第9条による自動喪失
第10条以下による申請に基づく国籍離脱
という異なる仕組みがあります。
第9条に該当する場合、中国国家移民管理局は、
自動的に中国国籍を喪失するため、別途「中国国籍退出」の申請手続は必要ない
と説明しています。
そのため、
「日本へ帰化するなら、必ず先に中国で国籍離脱許可を取得しなければならない」
と一律に考える必要はありません。
一方、日本の帰化申請では、中国籍の申請者について、
中国国籍を証明する資料
の提出が必要です。
東京法務局では、中国籍の方について、在日中国大使館または領事館で取得する**国籍証明書(領事証明)**を案内しています。
「自動喪失中国国籍領事証明」とは?
中国駐日本大使館は、在日中国公民が日本国籍への加入を申請する場合について、
「自動喪失中国国籍領事証明」
の手続を案内しています。
2026年現在、大使館の案内では、成人の場合、
有効な中国パスポート
有効な在留カード
領事証明申請書
証明写真
戸口簿の本人ページまたは居民身份证(ある場合)
などが必要資料として案内されています。
ただし、
法務局へ提出する具体的な国籍関係資料は、管轄法務局や申請人の状況によって異なることがあります。
先に自己判断で中国側書類を取得するのではなく、初回相談時に法務局から指示された資料を確認してから準備した方が確実です。
中国パスポートは帰化後も使える?
原則として使用できません。
中国の旅券法では、中国パスポートは、
中国公民が出入国し、国外で中国国籍・身分を証明するための証明書
とされています。
また、旅券法第16条では、
パスポート所持者が中国国籍を喪失した場合、旅券発給機関がそのパスポートを失効させる
と定めています。
中国外交部も、外国国籍を取得した後は、元の中国パスポートに有効期限が残っていたとしても、引き続き出入国に使用することはできないと案内しています。
したがって、
日本へ帰化した後に、有効期限が残っている中国パスポートを「まだ使えるから」という理由で使用することは避ける必要があります。
中国の戸口・居民身份证はどうなる?
中国国家移民管理局は、
外国に定住する中国公民が自ら外国国籍を取得し、中国国籍を喪失した場合には、
中国の戸籍(户口)および居民身份证を注销する必要がある
と案内しています。
したがって、日本への帰化後は、
「日本国籍になったが、中国の戸口と居民身份证だけはそのまま残しておく」
という扱いを前提にしない方がよいでしょう。
具体的な注销手続や必要書類については、
中国国内の公安機関
出入境管理部門
在日中国大使館・領事館
などに確認する必要があります。
地域や個別事情によって手続が異なることがあります。
帰化後に中国へ行く場合はどうなる?
日本への帰化後は、日本国籍者として中国へ渡航することになります。
つまり、
中国人として中国パスポートを使って入国するのではなく、日本国籍者として渡航する
ということです。
中国への入国については、その時点で日本国籍者に適用されている、
査証制度
査証免除制度
入国条件
などに従う必要があります。
中国の査証政策は変更されることがあるため、実際の渡航前には最新情報を確認してください。
また、外国国籍取得後に初めて中国査証を申請する際には、元の中国パスポートの提出等を求められる場合があります。
日本へ帰化したらすぐ日本のパスポートを使える?
帰化の許可が官報に告示された日から、日本国籍を取得します。
ただし、
官報に名前が載った瞬間に日本のパスポートが自動的に発行されるわけではありません。
帰化許可後には、日本の戸籍を作成するための届出等を行い、その後、日本人として旅券を申請することになります。
したがって、帰化許可直後に海外渡航を予定している場合には、
中国パスポートから日本パスポートへ切り替わる時期を考慮して日程を組む
ことが重要です。
中国国籍を残したまま日本国籍だけ取得することはできる?
一般的な中国籍の方の日本帰化では、
「中国国籍を残したまま日本国籍も持つ」ことを前提にはできません。
理由は二つあります。
一つは、日本の帰化制度に重国籍防止条件があること。
もう一つは、中国が二重国籍を認めていないことです。
特に中国国籍法第9条の要件に該当する場合には、日本国籍の取得に伴って中国国籍を自動的に喪失します。
したがって、
「日本国籍を取得しても中国パスポートを更新し続ければ二重国籍として生活できる」
という考え方は、中国当局の公式説明とも一致しません。
親が帰化すると子どもの中国国籍も自動的になくなる?
親が日本へ帰化したからといって、
子どもも自動的に日本国籍を取得するわけではありません。
帰化は原則として申請人ごとに判断されます。
親子で一緒に帰化申請をする場合であっても、それぞれについて国籍関係を確認します。
したがって、
子どもも日本へ帰化するのか
子どもは中国国籍のままなのか
出生時にどの国籍を取得しているのか
などによって状況が異なります。
特に中国国外で出生した子どもは、中国国籍法第5条との関係もあるため、出生時からの国籍関係が複雑になる場合があります。
帰化後に中国国籍へ戻ることはできる?
中国国籍法第13条では、
以前中国国籍を有していた外国人が、正当な理由を有する場合、中国国籍の回復を申請できる
とされています。
ただし、認められた場合には、
外国国籍を保持することはできません。
つまり、
「一度日本へ帰化して、後から中国国籍も追加で戻して二重国籍になる」
という制度ではありません。
中国国籍の回復は別の申請手続であり、許可されるかどうかも個別に判断されます。
日本の永住と帰化で迷っている場合
中国国籍を維持することが非常に重要な方にとって、
永住と帰化の違いは特に大きな意味を持ちます。
日本の永住許可は在留資格です。
そのため永住者になっても、
原則として中国国籍のままです。
一方、帰化は、
日本国籍そのものを取得する手続
です。
中国国籍法上の要件に該当すれば、中国国籍を喪失することになります。
したがって、
中国の戸口を維持したい
中国パスポートを引き続き利用したい
将来中国へ戻る可能性が高い
日本国籍を取得する必要性がどの程度あるか
といった点は、帰化を選択する前に十分検討した方がよいでしょう。
特に事前確認をおすすめするケース
次のような場合は、国籍関係を自己判断せず、帰化申請前に確認することをおすすめします。
中国国籍を失うことに不安がある
中国の戸口・居民身份证を維持したい
中国国内に不動産や事業がある
頻繁に中国へ帰国する
子どもの中国国籍が複雑
中国国外で出生している
過去に別の外国国籍を取得したことがある
中国側の国籍認定に不明点がある
親子で同時に帰化申請する予定
帰化後すぐに中国へ渡航する予定
日本側の帰化条件だけではなく、
中国側で国籍喪失後に何が変わるのか
まで理解してから申請することが重要です。
よくある質問
Q.日本へ帰化すると中国国籍は自動的になくなりますか?
中国国籍法第9条では、外国に定住する中国公民が自ら外国国籍を取得した場合、中国国籍を自動的に喪失するとされています。
個別の国籍認定について疑義がある場合には、中国大使館・領事館等へ確認してください。
Q.日本と中国の二重国籍になれますか?
中国国籍法は、中国公民の二重国籍を認めていません。
日本の帰化制度にも重国籍防止条件があります。
Q.帰化前に中国国籍の離脱申請が必要ですか?
中国国籍法第9条による自動喪失に該当する場合、中国国家移民管理局は別途の国籍離脱手続は不要と説明しています。
ただし、日本の帰化申請では中国側の国籍証明等が必要になるため、管轄法務局の指示を確認してください。
Q.帰化後も中国パスポートの有効期限が残っています。使えますか?
外国国籍取得後は、有効期限が残っていても中国パスポートを引き続き出入国に使用できないと中国当局が案内しています。
Q.帰化後、中国の戸口は残せますか?
中国国家移民管理局は、中国国籍を喪失した場合には戸籍および居民身份证を注销する必要があると案内しています。
具体的な手続は中国側の管轄機関へ確認してください。
Q.帰化後に中国へ行く場合、中国パスポートを使いますか?
原則として日本国籍者として渡航します。
中国への入国方法は、その時点の日本国籍者向け査証・入国制度に従います。
まとめ|中国籍の方の帰化は「日本国籍取得後」まで確認する
中国籍の方が日本へ帰化する場合、
日本国籍を取得することだけを考えればよいわけではありません。
中国は二重国籍を認めておらず、中国国籍法第9条の要件に該当する場合には、日本国籍取得に伴って中国国籍を自動的に喪失します。
その結果、
中国パスポート
戸口
居民身份证
中国への渡航方法
中国側での身分
などにも変化が生じます。
そのため帰化申請前には、
「日本国籍を取得できるか」だけでなく、「中国国籍を失った後の生活に問題がないか」
まで検討することが重要です。
エンライト行政書士事務所では、中国籍の方の帰化申請について、
日本側の帰化条件だけでなく、中国籍の方特有の国籍証明・身分関係資料・帰化後の国籍関係も踏まえて申請準備を行っています。
「中国国籍がいつなくなるのか分からない」
「中国の戸口・パスポートがどうなるか不安」
「永住と帰化のどちらを選ぶべきか迷っている」
という段階でもご相談いただけます。
初回の要件確認は無料です。
エンライト行政書士事務所
行政書士 宮島 詩卉
電話:03-5284-7981
受付時間:平日10:00~18:00
全国オンライン・WeChatでのご相談にも対応しています。
参考情報
法務省「国籍Q&A」
東京法務局「帰化について」
東京法務局「帰化許可申請書に添付する書類(中国の方)」
中華人民共和国国家移民管理局「中華人民共和国国籍法」
中華人民共和国駐日本国大使館「自動喪失中国国籍領事証明」
中華人民共和国国家移民管理局「中国は二重国籍を認めるか」
中華人民共和国国家移民管理局「中華人民共和国旅券法」
※中国国籍法第9条の「定居外国」への該当性など、個別の国籍認定は中国側当局が判断する場合があります。実際の国籍・戸籍・旅券手続については、法務局および中国大使館・領事館等の最新案内を確認してください。




